「学習の電動工具」を持たせてあげましょう
「学習の電動工具」を持たせてあげましょう
電動工具の威力
大工仕事に使う道具には、のこぎり、カンナ、キリ、ノミ、ドライバーなどがあります。 昔はこのような道具はすべて手動でしたが、現代ではその多くが電動化されています。 日曜大工をする場合、電気のこぎり、電動ドリル、電動ドライバーなどを使えば、驚くほどスピーディにきれいな仕事がラクにできます。 (ホームセンターなどには、きれいな板を売っていて、電気のこぎりでカットもしてもらえます。) こういう材料を電動工具を使って加工すれば、素人でもプロと同じような仕事もできます。
長時間の労働で疲れ果てた休日
以前休日に日曜大工をしました。 縁の下の目隠しをするための木製のドアが古くなったので、新しく作り変えるために、数枚の板を加工して蝶番や取っ手を付けて、縁の下に取り付ける仕事をしたのです。 あいにく持っていた電動工具を人に貸していて手元になかったため、穴あけビスの取り付けなどをすべて手動でしました。
ところが仕事を始めてみると、電動のドリルやドライバーを使わず、手で穴をあけたり、ビスを締める仕事は、想像以上に手間と労力がかかり、しかもビスがゆがんだり、途中で止まってしまったりで、夕方には疲れ果ててしまいました。 たった4枚の板を加工して取り付けるだけで、半日もかかり、しかもできばえも悪くて、疲れ方もひどかったです。
たとえば、穴あけでもキリを使うのと電動ドリルを使うのとでは雲泥の差で、電動ドリルならあっという間に穴が開くのに、キリを使って手でやっていると、10倍近い時間がかかります。 これがビス締めとなるとさらに大変で、同じく10倍ほど時間がかかるのに加えて、かなり力が必要で、数十本のビスを締めたりすると、疲れ果ててしまいます。 (昔、物置の中に棚をつけるために、ドライバーで力をこめて、数十本のビス締めをしたことがありますが、これも半日仕事でしかもその後腰痛に悩まされました。)
もし電動工具を使っていたら、時間は何分の1かで済んだだろうし、こんなに疲れることもなかったと思うと、改めて電動工具の威力はすごいなと思いました。 そして、これだけ大変な仕事になると、またやるのがとてもおっくうになり意欲がわかないだろうと思いました。
このように電動工具を持っていれば、驚くほどの短時間で労力もかけずに、しかも正確できれいな仕事ができます。
学習の道具は「読み・書き・計算の基礎学力」
学習は文章を読んだり、書いたり、計算したりして行うことが中心になります。教科書や参考書、問題集などを読んだり、ノートに書いたり、答を書いたりして学習します。 また算数・数学の学習はその多くが計算です。 つまり、読み・書き・計算が学習の道具ということになります。 そして、高度な道具を持っているほど、学習はラクに速くできます。
十分な基礎学力がないと学習が大変になる
学習の道具である基礎学力が弱いとどうなるでしょうか。
1.学習に長い時間かかる
文章をすらすら読めないと、内容を把握して理解するまでに長い時間かかります。 文章を書く力や計算力が弱いとやり終えるまでに長い時間がかかります。 学習に長い時間とられて、他のことをする余裕がなくなることがあります。 学校の宿題をこなすのに長時間かかって、夜遅くなってしまうようなこともあります。
2.学習に苦労し、嫌になる
読むのに苦労したり、計算が遅くミスも多いと学習がスムーズに進まず苦労することになります。 読むのがたどたどしいと文字を追うのがやっとで、内容を把握することができません。 当然本も自分で読もうという気になれません。 算数の計算でも、1桁同士の足し算の答が考えてやっと出る程度の計算力で先に進んでしまうと、3桁同士の足し算の筆算などは、1問1問大変な時間がかかって苦労することになります。 割り算の答がやっと出るようなレベルで、分数の通分や約分の問題に進んだ時も同様です。
3.学習意欲がなくなる
そういうことが続くと、学習が苦痛になり、嫌になってきます。 勉強嫌いになり嫌々やるので、ますますできなくなるという悪循環になります。 子どもはラクにできることは喜んでやろうとしますが、苦労の伴うことはやろうとしません。 「高い基礎学力」が育っていないと意欲的に学習できず学習嫌いになってしまいます。
4.学習に行き詰まる
基礎学力不足のまま進んでいくと、学習内容が高度になればなるほど苦労することになり、ついには行き詰まって、時間をかけてもできなくなってしまいます。 特に算数・数学や英語などは、基礎ができていないとその上のことは全くできなくなってしまいます。 以上のようなことは、冒頭で述べました手動の工具を使って大工仕事をするようなものです。 あまりに時間がかかったり、苦労して疲れたり、しかも出来もよくないとなると、誰しも嫌になってやる気がしなくなるものです。
速読力があれば、普通の人の何倍もの学習や仕事ができる
「学習の電動工具」の最たるものが速読力です。 速読力があれば普通の子が1冊読む時間で数冊読めたり、普通の子が1時間かかる本を20分ほどで読んでしまったりします。 読書が習慣になって毎日何冊もの本を読み、1か月の読書量が100冊、200冊ともなれば、普通の子に比べて、圧倒的な量の学習ができます。
(幼稚園児ですでに、1日に数冊も読むようになる子がいます。ごく稀ですが、過去の事例では1日に読む本が10冊を超え、その中には小学校高学年レベルの本もあるような子もいました。)
読み始める年齢が早いと本を読んでいるだけで、どんどん読むスピードが速くなり、訓練などしなくても速読力が育ちます。 中高生や大学生、社会人になっても速読力という「電動工具」があれば、短時間に多くのことを学んだり、多くの仕事をこなしたりできます。 成功者はそのほとんどが、大変な読書家と言われていますが、総じて読むスピードが非常に速いようです。 速読力や高い読解力は一生の財産になります。
「電動工具」と呼ぶにふさわしい基礎学力は「3学年以上先の学力」
学習の道具である基礎学力では、どれくらいの力があれば「電動工具」と呼べるでしょうか。
ひとつの目安としては「3学年以上先程度の学力」があれば、「学習の電動工具」を持っていると言ってよいでしょう。 3学年以上先というと、たとえば小学校3年生であれば、小学校6年生レベル、小学校6年生であれば中学校3年生レベルになります。
もちろん、ここまで行かなくても小学校低学年の頃は、学年を半年分でも先取りして習熟していれば、学年相当のことは苦労なくできます。 しかし、学年が上がるにしたがって、少々の先取り学習では、学年相当のことがラクラクできるところまではいかなくなります。 まして、「電動工具」を使って学習できていると実感できるほどラクに短時間に学習を済ませられるようにするには、「3学年以上先」程度の学力は身につけておきたいものです。
もっとも「3学年先」の基礎学力をつけるには、長期間にわたる継続した学習の積み重ねが必要です。 低学年の頃はそれほど本格的な先取り学習ができていなくても、学校の勉強で困ることはないでしょうから、徐々に先取り学習を進めていって、できれば小学校の終わりの頃か、中学1年くらいで「3学年先」を達成しておくとよいでしょう。
もし、小学6年生の終わりに「3学年先」が実現できていれば、中学校に入る前に中学課程を終えることになります。 そうすると、中学校入学の時点ですでに中学校で学習することのすべてをやってしまっているので、中学レベルのことは、ラクラクできます。 まさに「電動工具」を使った圧倒的に速いラクな学習ができるのです。(そしてその余裕でもって、高校レベルの先取りができます。)
学年より3学年も先のことが本当にできるようになるのだろうか
しかし、本当に学年より3学年も先のことができるのだろうかと思ってしまいますね。 落ちこぼれ753という言葉があるように、小学校でついていけない子が3割、中学校では5割、高校では7割もいるというのに・・・・
学校についていくだけで精一杯の子や、精一杯頑張ってもついていけない子もけっこういる・・・、まして、学年を超えて、先取り学習など本当にできるのだろうか。
またそんな高度なことが本当に理解できるのだろうか。 このような疑問が当然ありますね。
幼児期から始めて、先取りが可能な教材を使って学習すればできます
1.幼児期から学習を始める
幼児期から学習を始めれば、学校が始まる前からやるわけですから、最初から先取り学習ができます。 これはマラソンなどに例えれば、スタートの号砲が鳴るはるか前から走り出すようなものです。こうすれば、誰でも学校より先行することができます。
2.学習内容を絞り込む
学校で1年間かけて学習することを全部やろうとすると、先取りは困難になります。 内容を大事なこと、たとえば高校課程ができるために必要なことのみに絞り込めば、1年間で1.2学年分~1.5学年分進むようなことが可能になります。
3.長期間かけて徐々に先取りを進めていく
1年間の先取りの量は少なくても長期間学習し続ければ、先取りの幅を1.5学年先、2学年先、3学年先・・・と大きくしていくことができます。 例えば、1学年分を10か月で学習すれば、年間1.2学年分進むことができます。 内容が絞り込んである教材を使えば、1日30分程度の学習で、年間1.2学年分程度はラクに進めます。
4.先取り学習が可能な教材で学習する
以下のような教材であれば、学年を超えて先取り学習を進めていくことができます。
- 学習内容が絞り込まれている:学習内容が小学校でしか出てこないことは省かれていて、将来必要なこと(高校課程に必要な基礎となる内容)に絞り込まれていること
- 自習で学習できる:教わらなくても自力で学習できるようになっていること 個人別学習 一人一人の能力やペースに合った進み方ができる
- 個人別学習ができること:スモールステップ 細かいステップを踏んで、ゆるやかな坂道を登っていくような学習ができること
- 徹底した反復練習:考えなくても一瞬で答がひらめくようになるまで反復練習ができること
「学習の電動工具」は一生の貴重な財産
電動工具と呼ぶにふさわしい高い学力を持つ子は、友だちともよく遊び、毎日好きなことをいっぱいやり、本もよく読み、そして勉強も短時間に集中してやってしまっているので、毎日がとても充実しています。 自信と意欲にあふれ、毎日がとても楽しそうです。
私はすべての子どもたちに、この「学習の電動工具」を持って欲しいと思っています。 当然個人差はありますが、これはやれば誰でもできます。 それは、やはり早くから始めること、読書習慣や学習習慣をつけて、できるだけ毎日本を読んだり、基礎学力をつける学習をし、それを長期間やり続けることで可能になります。
「学習の電動工具」は一生の貴重な財産になります。 是非、この高度な読解力と速読力、学年を大きく超える基礎学力を持てるようにしてあげましょう。
本記事画像著作者:pikisuperstar/出典:Freepik